みなさんこんばんは。@regionalfootbalです。
全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2018(略して「地域CL」、旧称「地決」)は、全国9つの地域リーグの優勝チームと、全国社会人サッカー選手権大会(略して「全社」)を勝ち抜いた3チームの計12チームによるリーグ戦で、その1次ラウンド(3日間)および決勝ラウンド(一日おきの3日間)が以下の日程で開催されました。
1次ラウンド
日程:2018年11月9日(金)〜11日(日)
会場:
- 千代台公園陸上競技場(北海道函館市)
- 岐阜メモリアルセンター長良川競技場(岐阜県岐阜市)
- 松江市営陸上競技場(島根県松江市)
決勝ラウンド
日程:2018年11月21日(水)〜25日(日)
会場:ゼットエーオリプリスタジアム(千葉県市原市)
そしてこの大会の上位2チームが、来年からJFLに昇格できるという位置づけになっています。
本サイト管理人は、昨年もこの大会を個人的に観戦し、以下のような観戦記を書かせていただきました。
#地域CL 観戦記のモーメントを作りました。⚡️ "地域CL2017観戦記フルセット(1次ラウンド2日目〜決勝ラウンド最終日)"https://t.co/KRmoRRsBwM
— 地域CLを知る (@regionalfootbal) 2017年11月27日
しかし今年は、10月の全社のときと同じく、春から関わっているインターネットの地域サッカー情報番組『蹴AKE11 〜シュウアケイレブン〜』のスタッフとして試合の取材などに関わりました。また、今年は都合により、1次ラウンドの観戦はかなわずに決勝ラウンドの2日目および3日目のみの関わりとなりました。
昨年の地域CL観戦記では、観戦した試合それぞれについての感想を書いていたのですが、今年は全社のときと同じく、観戦者というよりも取材側として会場に来ていたので、カメラワーク自体やらインタビュー準備やら、特に決勝ラウンド2日目に関してはその夜に番組配信が予定されていたのでそれ自体の準備もあり、試合自体を集中して観ることはなかなか難しい状況でした(まぁ仕方がないですね)。
なのでこの記事では、今回の地域CLの観戦日を通して感じたことを書き残しておきたいと思います。
■サッカーを、人として成長する機会とする
昨年の全社や地域CLにおいては、いち観戦者として(そして毎回の記事で書いていますが(自分が一番サポートしているチームが出場していない、という意味での)「傍観者」として)、なるべく出場チームのサポさんたちのそばにいて、その姿を見ることで感じること/得ることが多かったように思います。
それが今年は、試合を取材する側になり、例えばピッチレベルやメインスタンド最上段からカメラを回したり、試合直後の監督のインタビューの場にもいさせていただくことになりました(何がどうしてこうなったのかいまだに謎ですが…)。
目の前にあるものがサッカーの試合であることに変わりはありません。ただ、立ち位置が異なることで、当たり前ですが見えてくるものがかなり変わってくるものだな、と感じました。サポさんたちの姿は、正直言って昨年ほど見ることも話すこともできなかった。しかし逆に、番組制作の過程を通して、ピッチレベルで選手を間近に見たりチームの監督や関係者のインタビューを拝見する機会が多くありました。
ここ数年の自分自身の傾向として、サッカーに関して、ピッチの中での出来事よりも、ピッチの外のことに対する関心のほうが増えてきていました。そして上のような機会があることもあいまって、それがより加速されている、とも感じています。それは例えば、ピッチに送り出す選手に対して監督やコーチがどのように考えて接しているのか、といった選手のマネジメント方法だったり、長年応援してきたチームの試合結果に一喜一憂するサポさんたちの姿だったり、試合の運営手法であるとかクラブ広報の手法だったり、といったようなことです。
これはやはり、自分自身の普段の生活や仕事の面で気になることと同じ視点をサッカーにも持ち込んでしまっている(それとも単に歳をとったから?)、ということなのでしょうか。
地域リーグの監督の皆さんの経歴を見ても、大変失礼ながら皆さんこれまで成功し続けてこられた方々だけではなく(成功続きであれば上のカテゴリーのチームが離さないでしょうし)、しかしだからこそこれまでの失敗の中で学んで得てきたものを活かして現在のチーム運営に取り組まれている、という話を何度か聞きました。こうしたことは、サッカーの分野だけでなく、普通のどんな職場においても当てはまる話、ですよね。
また、地域リーグでプレーしている選手たちは、「プロになれなかった選手」という見方もできますが、逆に言えば、「一般の仕事とサッカーとをかなり高度に両立させている人たち」、とも言えるかもしれません(一般の仕事のほうでどれくらいな評価なのかは人それぞれでしょうが…)。そして、ひとつのことだけではなく、別のことをやってみることで、今までしてきたことの別な側面や新しい価値に気づく、ということはよくあることです。「サッカーしかしていないプロ選手」よりも、もしかしたらそうした面での気づきは多いのかも。そしてそうした選手たちが、例えば捲土重来を期すような監督やコーチたちに鍛えられていく。
選手として、あるいは指導者として、もっと言えば人として成長していけるような機会は、一般の人たちからはほとんど注目されていないこうした地域リーグのような場であっても存在するんだ、というアタリマエのことに、改めて気付かされました。「サッカーは人生である」とは、よく聞く言葉ではありますが、また少しあらたな実感を持ってこの言葉を噛みしめることができた大会でした。
と、まるで他人事のように言っているだけではダメですね、僕自身もこの機会をいかしたいところではあります。
■サッカーのある生活を、これからも
そして大会の結果は、皆さんご存知のように松江シティFCが優勝、鈴鹿アンリミテッドFCが準優勝となり、この2チームが、来年のJFLへの昇格の権利を得ることとなりました。おめでとうございます!
特に松江は、とにかく、強かった。あとで90分の俯瞰での映像を改めて見直したいと思っているのですが、チームとしてよく訓練されている、という印象。ありがちな「単に有名選手を集めた」強さではない、ということが素人目にもわかりました。
今回、優勝が決まった最後の松江対鈴鹿の試合の後半をメインスタンド最上段からカメラで撮影していたのですが、その横で女性の松江サポさん(関係者?)もビデオを撮られていて、ときおり、松江のチャンスのときに(よっしゃ!)とかピンチのときには(ああああ…)と小声でつぶやかれているのがほほえましく、試合終了後に引き上げる際に、「おめでとうございます」と声をかけたところ、目にいっぱい涙をためられていて、もうね、一発でもらい泣きですよ。。。
#地域CL 決勝ラウンド第2試合、 #松江シティ 対 #鈴鹿アンリミテッドFC は2-0で松江がリード。秋の三連休の最終日、多くの人がこの試合に見入っています。Jに比べれば数は確かに少ないけれど、来年以降のチームの行く末に心を寄せる人にとっては、年間で最も大切で心に響く試合、ですね #コミュサカ pic.twitter.com/QajSOALwaE
— 地域CLを知る (@regionalfootbal) 2018年11月25日
松江と鈴鹿に関しては、昨年から地域リーグをちゃんと見始めた僕にとっては、2度の全社と地域CL観戦を通して、どちらも特に印象深かったチーム。勝手ながら「地域リーグご卒業おめでとうございます。簡単には戻ってこないように頑張ってください!」という言葉を贈りたいと思います。ああ、この2チームの名前が来年から地域リーグの一覧からなくなるのが、少し寂しくはありますが。
そして、勝ち点計算の都合上ながら、(最終日の自分たちの試合が終わった後に)これまで東海リーグでしのぎを削ってきた鈴鹿を(松江の勝ち点積み上げを防ぐために)応援せざるを得なかったFC刈谷の関係者/サポさんたちの心情はいかばかりだったでしょうか。とにかく、いまはゆっくりと疲れをいやしてください。
J.FC MIYAZAKIは、1日目の対鈴鹿戦で3-0で敗戦したことから盛り返せず、最終日にはチームの核であった佐野選手の(恐らくは怪我をおしての)出場にもかかわらず、前半のうちに退場者を出したことも響いての敗退となりました。残念、宮崎からJFL3チーム目、とはなりませんでした。
そして。
「世界一過酷な大会」などと揶揄されるこの地域CLを松江と鈴鹿が勝ち抜いたことはもちろん素晴らしい。それに間違いはありません。しかし、全国リーグであるJFLへの来年からの参加においては、予算面やチーム運営において、もしかしたらさまざまな課題が出てくるかもしれない。今年のチーム体制でそのまま来年戦える(もしくは戦わざるを得ない)かどうかもまだわからないわけですし。
目の前で懸命にプレーしている選手たちを見て、それに心を打たれて応援する人々がいて、初めてサッカークラブは存在していけるんかなと、単純ではあるけれどまずはこれが根本的なところなのではなかろうか、と考えます。サッカーというスポーツに関われるのは、なにも選手や監督たちだけではないですよね。
今後ながらく地域に根付いていくであろうクラブの歴史の、一年また一年をともに歩いていくからには、良いときもあれば悪いときもある。地域リーグで長年戦ってきた両チームの関係者/サポさんたちであれば、僕などに言われるまでもなく理解されていることでしょう。多くの人の努力と喜怒哀楽こそが、クラブの見えない地層となっていく。
「サッカーがある日常」を守るために、クラブとともに歩く。
「このまちにこのクラブがあって良かった」と言える日がいつか来て、そんな人が沢山できて、「今年のチームは去年に比べてこうだねぇ」「でもほらいい選手も来てくれたじゃないか」とかなんとか言いながら、週末になったら地域の人たちが親子や仲間うちで連れ立ってスタジアムに行ってお弁当を食べながら身近な顔見知りの選手たちに声援を送る――。
いまはJリーグのあるまちでしかみられない(Jでもそんなに見られないかな…)そんな風景が、松江市や鈴鹿市でも見られるようになることを期待しています!
さて、それでは最後に。
今回の地域CLに参加された12のすべてのチームの選手と関係者、そしてサポの皆さんに(現地組もそうでない人も)最大限の敬意と感謝、そしてお疲れ様を!
今年の地域CLはこれで終わり。
それでは皆さん、またどこかの試合会場でお会いしましょう!
【欄外:今日の1試合目の試合終了直後、J.FC MIYAZAKIのGK渡邊敬人選手がピッチ内で倒れて救急車で搬送されています。試合中の衝突時によるダメージが原因と思われます。とにかく、とにかく大事に至らないことを祈ります。】